1.塗装工事でのトラブル
塗装工事でのクレームは、リフォーム工事におけるクレーム相談の中で、最も多いという統計結果があります。(国交省管轄の住まいるダイヤル)
悪徳業者や手抜き工事が主な原因であると、思われがちですが全体の不良施工から見ればごく一部です。
世の中の施工業者の皆さんは、大半は真面目に塗装をしています。
それなのになぜ、まじめな施工業者が多いのに不良施工が起きてしまうのか。その原因と対策についてご説明します。
2.不良施工の原因
①施工前の診断ミス
塗装する前には必ず建物の現状確認と劣化に対する対処について診断します。その際に判断を間違えてしまった場合に、不具合が生じてしまいます。
例えば、モニエル瓦やスカンジア瓦といった表面に特殊加工がされた瓦の塗装をする場合、浸透性の高い専用の下塗りの塗料を使用する必要があるのですが、判断ミスをして、一般の下塗りの塗料を使用した結果、塗膜剥離という不具合が生じてしまうケースがよくみられます。
②施工業者の知識不足又は思い込みによる施工
塗装をする職人と呼ばれる人達には、電気工事等に求められるような資格、免許は必要ありません。したがって、未経験者でも作業をすることができます。
ベテランといわれる職人でも、自分自身の経験や思い込みで塗装をすることで不具合が生じてしまうことがあるのです。
3.塗料メーカーが定めた塗装仕様
塗料には、それぞれ塗料メーカーが規定した明確なルールがあります。それは、各塗料メーカーがその塗料の機能を最大限に発揮するために定めた塗装仕様というものです。
この塗装仕様は、塗料のカタログに必ず記載されていますので、業者の方から説明を受ける際には、必ずカタログをもらって確認できるようにしてください。もらえない場合は、インターネットで検索すれば、電子カタログ等で確認できます。
この仕様には、様々な設定がされていますが、その中で特に重要となるのが、実際に使用する塗料の量「塗布量」と塗り重ねの間に必要な乾燥時間「インターバル」です。
この塗装仕様をきちんと認識して施工するかどうかということが、結果として不良施工につながるかどうかということになります。
4.塗装面積の重要性
メーカーの設定した塗布量を守った施工をする上で、重要なポイントが「塗装面積」です。これはじっさいに塗装を行う家の屋根・外壁面積のことです。
正確な塗布量を算出する上で、最も重要になる基準です。この塗装面積が不正確だと、塗布量自体が不正確になり不良施工の原因となる危険性が高まります。同時に、塗装価格の基準となりますので、その点でも問題になります。見積りの提出時での説明を受ける際には、この塗装面積の算出方法を聞いてみることは大切です。(建築図面やCAD等で正確な算出をしているか、大まかで曖昧な算出なのかが見えてきます。)
5.有資格者が在籍する業者に相談する
トラブルを防いで、最良の施工をするために…
施工に関する専門の資格、例えば、1級塗装技能士、外装劣化診断士等の知識と技能を持った資格者が在籍していて、メーカーの塗装仕様を守って、工事を管理できる業者さんに相談することが有効です。確認の方法としては、業者さんの店舗での資格の合格証書の掲示やホームページから確認することが可能です。
資格者が在籍しているということは、現場の職人さんにメーカーの仕様を守って施工するための指導、管理ができるという期待が持てるということになります。